小さな春の庭

ものの芽に呼びとめられしごとく立つ
　　　　　　　　　　　　　　　　片山由美子

人というのは綺麗に花が咲いていると
ふと立ち止まって見入ってしまうもの。

しかしそれ以上に、まだ固くて黒い
土の中から、柔らかな植物の芽が
萌え出ているのを発見した時には、
思わず足を止めてしまいますよね。

いや止めるどころかしゃがみ込んで
何の芽か覗き込んでしまうくらい。

先週訪れたA様のお宅の花壇です。
こちらは水仙。蕾が上がって来てる。
そろそろ気温も上がりだし、本格的に
花壇の手入れを再開するに当たって
現在の状態の確認と虫対策です。
こちらはクロッカスの芽。

今年はよほど寒かったんでしょうね。
大体2週間から3週間遅れ。

他にもチューリップの芽も伸びて
いるし、これは一気に花が咲くかも。
一応順番に咲くように種類を選んだ
つもりですが、とんだ誤算。
やはり自然は思い通りにはいかない。

すべて秋に植えつけたものばかり。
自分で植えておきながら、どんな
品種を植えたのか思い出せない。
もちろんA様に植物リストは渡して
あるし、自分で控えも持ってるんで
すが脳内に残っておらんのです。

冬の間の彩として植えたパンジーと
ビオラは冬を越したので株が充実。
張り出すように成長中。これからまた
どんどんと花が上がってくるので、
花ガラ摘みが大変。まあポカポカ
陽気の中なら「それまた楽し」です。

寒さで葉っぱの色が黒っぽくなってる
のがまた良くて、ピンク色の花を咲か
せ続ける八重咲きのプリムラのとの
組み合わせがとてもシック。

意図してなかったけど結果オーライ。
A様からも「あのピンクのお花が冬の間
ずっと綺麗でとても良かったわ」と。
次々顔を覗かせる球根花も楽しみに
されていて、それが狙いだっただけに
今のところ計画通りといった所です。

丈の低い植物が多い中、凹凸を出して
くれているのが、無事冬越ししてくれた
「においゼラニューム」。

同じ種類をウチの花壇にも植えてある
のですが、吹きっさらしのせいか土の
上の部分は立ち枯れたんですけど、
こちらは日当たりが抜群にいいようで。
その分夏越しが結構大変ですけど。

5月になればこちらの花壇を受け持ち
1年が経ちます。大体環境も分かって
きて、今年1年はどんな風にして行こう
かと思いながら枯れた葉っぱの整理
をしていると、去年とは明らかに違う
点をひとつ発見しました。

雑草です。
去年はまだ新しい土で雑草の生える
気配もなかったのですが、今年はもう
小さな青い草があちこちに。

去年の春は新築の家に、新しい花壇。
どこかよそよそしい風情で、しっくりとは来なかった玄関前の小さな空間が
今ではもう、しっかりとこちらのお宅の顔をしています。
何でも馴染むまでには時間がかかるもんですね。

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