花に酔う

　　　　　薄紙をくしゃくしゃと丸めて広げたようなポピーの花。
　　　　　ポピーより「ひなげし」の方が好き。
　　　　　「虞美人草」という呼び名も妖しくていいね。

　　　　　醜いといってもいいような黒い産毛がびっしりと生えた蕾の中に
　　　　　小さく折りたたまれて入っているなんて意外な気もするけれど、
　　　　　ひなげしの花の魅力の半分はこの蕾とくねる茎の造形にある。　　　　　茎が折れていた蕾を小さなフラスコ瓶に
　　　　　ミモザアカシアと一緒に活けて並べてみる。　　　　　1日経つとほらこの通り。
　　　　　色鮮やかなハンカチが出てくる手品のよう。
　　　　　壁に架けたアイアンフレームをバックにアールヌーヴォー調。

　　　　　ひなげしは自分のために仕入れてきました。
　　　　　さて、これで色々とデザインを楽しんでみようと思います。　　　　　同じく見本というか、1年後のレッスンのために試作してみようと
　　　　　仕入れたミモザアカシア。ふっわふわ。

　　　　　ミモザアカシアからは独特の香りがします。
　　　　　水栽培のヒヤシンスのほか、こぶしの花などスタジオの中に
　　　　　活けられた花々から漂う香りにくらっとしながら、慌てて窓を
　　　　　開け放しています。

　　　　　香り、というより植物のフェロモンみたいなものを感じますね。
　　　　　虫たちが花の香りに酩酊してる状態ってこんな感じなのかな。
　　　　　それに反応している私も「生物」なんだなと感じる瞬間。

　　　　　　水割りの水にミモザの花雫　　草間 時彦

　　　　　ホモ・サピエンスとしては花でなく酒で酩酊することにしますか。

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