てふてふ

　　　　　空にひらひらと舞う蝶のように見える、スイートピーの花。

　　　　　　　てふてふが一匹韃靼海峡を渡っていった

　　　　　安西冬衛のあまりにも有名な一行詩。
　　　　　蝶が渡っていった韃靼海峡の空は、こんな青空ではなく
　　　　　鈍色の海と灰色をした北の空ではなかったか。

　　　　　中学校の国語の教科書で出会ったこの詩の題が
　　　　　「春」だと知ったのは、数日前のこと。

　　　　　韃靼海峡という強い言葉と、てふてふという柔らかな音の対比が
　　　　　この詩の最大の魅力ではないかと思うのですが、
　　　　　暗い海原へ一匹、白い蝶が果敢に飛びこんでいく
　　　　　姿が浮かんできて、大好きな詩です。
　　
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